山下:いいえ、はっきりしたことは分かりませんが、スペイン語で「お寺」という意味の"templo"かポルトガル語で「料理」という意味の"tempero"から来た言葉だと言われています。
スミス:じゃあ、外来語ですね。
山下:ええ、そうです。スペインやポルトガルの宣教師達が魚を小麦粉につけて揚げるのを日本人が見て作ったのが「てんぷら」です。
スミス:じゃあ、スペイン人やポルトガル人が日本に来たのは16世紀から17世紀ごろですから、日本人はそのころからてんぷらを食べ始めたんですか。
山下:いいえ、日本人がてんぷらを作るようになったのは江戸時代の中ごろ、つまり、18世紀の中ごろからだそうです。でも、天ぷらを作って食べたのは金持ちだけです。そのころは電気がありませんでしたから、夜暗くなってから家の中で電気の代わりに油を使っていました。油はとても高くて料理に使えませんでしたから、普通の人はてんぷらが作れませんでした。
スミス:じゃあ、うちで普通の人がてんぷらを作るようになったのはいつですか。
山下:明治時代になって電気が使われ始めて、油がたくさん安く売られるようになってからです。
スミス:そうですか。じゃあ、日本人がてんぷらを食べる習慣も新しいんですね。ところで、昔宣教師達は魚を小麦粉につけて揚げたそうですが、今のように海老や野菜に衣(coating)をつけたてんぷらはいつから食べるようになったんですか。
山下:今のようなてんぷらは江戸時代の中頃から始まったそうです。
スミス:そうですか。てんぷらの衣を作る時に使う材料は何ですか。
山下:小麦粉と卵と水です。三つだけ使って作るので簡単なようですが、てんぷらを上手に揚げるのはとても難しいそうです。
スミス:私のホスト・ファミリーのお母さんも、てんぷらは油の温度によっておいしかったりまずかったりする、とよく言っていました。
山下:そうですか。
スミス:ところで、徳川(とくがわ)家康(いえやす)はてんぷらを食べて食中毒で死んだそうですが、本当ですか。
山下:ええ、本当らしいですよ。
スミス:家康は将軍だったから、近くにたくさん医者がいたと思いますが、、、。
山下:家康が食中毒になったのは、普通はあまり食べないてんぷらをたくさん食べたからです。1616年にとても金持ちで家康には大切な人が会いに来ました。その人は関西(かんさい)で鯛を油で揚げる料理が流行しているから、と言って新鮮な鯛を持って来ました。
スミス:新鮮な鯛だったら刺身で食べるんじゃありませんか。
山下:普通はそうですね。でも、その時料理人はその金持ちの話をきいて、鯛をてんぷらにして家康に出しました。それまで家康はてんぷらを食べたことがありませんでしたが、食べてみたらとてもおいしかったので、たくさん食べました。そしたら、食べ過ぎて食中毒になってしまいました。
スミス:てんぷらを食べて食中毒になったんですか。
山下:ええ、家康はその時は73才で年をとっていましたし、いつもはてんぷらを食べない人がたくさん食べたので、消化不良になって食中毒で死んでしまったという話です。
スミス:そうですか。
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