ミシガン州立大学ハドソン・遠藤先生の巻
ミシガン州立大学の遠藤先生と私は何とICUの同窓生なのです。忘れもしない、1969年の入学試験の一部として英語での面接があったのですが、その席で私は遠藤先生と同席することになってしまったのです。確か学生3人に試験官が3人だったと記憶しています。仙台育ちでズーズー弁のおかげで、「hit」の「i」「 bet」の「e」など比較的日本人には難しい母音の発音などにかなり自信があった私は意気揚々と面接の会場に乗り込みましたが、遠藤先生の英語を聞いて失意のどん底に突き落とされてしまいました。何せAFSで一年アメリカ生活を送って習得した英語ですからズーズー弁の英語とは雲泥の差です。試験官の質問に即座に答えられる遠藤先生を横目でにらみながら、こちらは何度も「もう一度言って下さい」を連発するばかりでした。質問が理解できて何か言おうとしても遠藤先生が先に流暢な英語で答えてしまわれるので、私は面接の場で何かを言ったという記憶が全くありません。でも、どういうわけか合格してICUで勉強できることになりました。
優等生の遠藤先生は4年ですんなりと卒業なさってすぐアメリカへ、私はヨーロッパ無銭旅行を目論んでいたので、アルバイトに励んでいました。できるだけ多くアルバイトをするため、可能な限り授業を休もうと思いフレッシュマン・イングリッシュ(1年生の年はほとんど英語の授業ばかりでした)のディレクターのリンデという先生にどのぐらい欠席すると落第させられるのか聞きに行きました。1/3以上休むと落第だということを確認して、休める限界の1/3弱を休んで何とかパスしようとしたのですから英語が上達するわけがありません。とうとうテメエ・ライティング(Theme Writingのことを落第生はこのように呼んでいました!)のコースはFを取ってしまい、後でまた取り直しました。遠藤先生はと言えば、語学科の中でも特に光った存在でした。
キラキラ光る優等生と酒ばかり飲んでいた劣等生がアメリカで再会したのは80年代の後半でした。ミドルベリー大学やミシガン大学で大活躍していらした遠藤先生は光り輝く存在で水谷夫妻がお書きになったIntroduction to Modern Japaneseの文法ノートも出版されていてそれはそれは近づき難いスターでした。もちろん面接の席でしどろもどろ、呂列が回らずどもっていたズーズー弁の冴えない男のことなどこれっぽっちも覚えていらっしゃいませんでした、こちらが過去を暴露するまでは。
でも、遠藤先生の良いところは、劣等生が恐る恐る遠藤先生に20年前の先生は覚えていないであろう話をして近づいて行っても変な顔もせず、話を聞いて下さって旧交を暖めて下さったことです(旧交は全然ないにもかかわらず!)。それからは、学会でお目にかかる度にいろいろお話を伺わせて頂く機会が何回かありました。いつも暖かくお言葉をかけて頂いて感謝感激でした。
1991年3月バージニアで初めて日本語教師のワークショップをうちの大学で開催することを計画して元上司のモネイン先生にゲスト・スピーカーとして来て頂くことになっていましたが、先生の癌が再発して1月に帰らぬ人となってしまいました。主催者として初めてのワークショップでゲストスピーカーがいないのではかっこうがつきません。絶望的になってモネイン先生に代わる先生としてすぐ頭に浮かんだのが遠藤先生でした。実践的なドリルの作り方、文法の説明の仕方などを分かりやすく話して頂ける先生というのが私の理想でしたが、遠藤先生は私の理想にピッタリでした。時間的に全然余裕がありませんでしたが、快諾して下さり素晴しい講演をして下さったおかげでワークショップは大成功でした。初めがよくないと長続きしませんが、遠藤先生のおかげでバージニアのワークショップは来年で8回目を迎えます。
93年にミシガン州立大学で遠藤先生がコンピューターのワークショップをオーガナイズした時キャンパスのテニスコートで遠藤夫妻とテニスのダブルスをする機会がありました。確かその当時ノースウエスタン大学にいらした香川先生と私がパートナーになり、夫妻と試合をしたことがありました。普通テニスの常識では夫婦がパートナーとして試合をするといいことはないというのが常識ですが(大体旦那がコートの2/3ぐらいカバーしてしまい奥さんの打てるボールまで打ってしまって夫婦喧嘩になるのが常識のようです。うちの場合も全くそうですが、、、、)、遠藤夫妻の場合は全く違いました。仲が良いことはいろいろな方から聞いていましたが、テニスコートでも全く同じでした。遠藤先生が何かミスをすると御主人が"Don't worry,sweetheart."と言ったり、御主人がコートの端から端まで走り回った挙句ミスすると遠藤先生が"Honey, thank you for covering all the court."などと御主人をいたわって暖かい言葉をかけあうのです。そのお互いの気配りには感心しました。それがポイント毎に繰り返されるのですから仲の良い夫婦っていいなあ、と自分の配偶者との関係を振り返ってつくづく思いました。また、御夫妻のあまりのアツアツぶりに私と香川先生は大汗を流しました。仕事の面でも夫婦関係の面でも順調な遠藤先生、これからも良いお仕事をして下さい。
怎Cジケビッチ
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