「焼酎をリストに入れよう」

 飛行機の中というのは、長時間狭いスペースに閉じ込められて、出来ることが限られていて、本当に退屈だ。アルコールに目がないイジケビッチには機内で酒を飲むのが大きな愉しみだ。全日空の飛行機で成田からワシントンDCに戻る機内で「エコノミー・メニュー」というものがあり、「お飲物」のアルコール類のところを見てみた。そこに記載されているのは、カクテルではジントニック、ブラディ マリー(何故かブラディとマリーの間にスペースがある)、スクリュードライバーの3種類、他にウイスキー、ブランデ−、ワイン、ビ−ル、日本酒と6種類のアルコ−ル類だった。焼酎党のイジケビッチは、焼酎はリストに入っていないだろうと思ったが、やはり入っていなかった。
 ところが、2003年の居酒屋では焼酎の地位が10年前よりずっと上がっていた。金沢滞在中ウイークリー・マンションで米焼酎、麦焼酎、芋焼酎、さとうきび焼酎、そば焼酎、しそ焼酎、泡盛、など異なった材料から作られた焼酎を10数種類飲んだ。誰かと飲みに行った時は、自分はいつもボトルを注文して梅干し入りのお湯割りを飲んだ。若い女性と飲みに行って気が付いたのは、焼酎をベースにしたカクテル/ドリンクが多くなっていることだった。酎ハイのみならず、コーラ、グレープフルーツ、ウーロン茶、ピ−チ味のジュースなどで割って氷を入れた飲み物がよく飲まれていた。焼酎をおじんの飲み物と言ってバカにするヤングギャル達が、おじんの飲み物である焼酎をベースにしたドリンクを嬉々として飲んでいることにイジケビッチは苦笑せずにはいられなかった。
 何はともあれ、10年前から焼酎を愛好しているイジケビッチとしては、焼酎がより多くの人に飲まれているという事実を大いに歓迎する。以前は日本酒党だったイジケビッチが焼酎と出会ったのは1970年代だ。ICUで勉強していたころ、いもで作った薩摩名産の「白波」という焼酎に出会って、なんとも言えない芋の香りに魅せられた。確か一升瓶で400円だったように記憶している。味のうまさと安さに惹かれた。当時貧乏学生で無類の酒好きのイジケビッチの愛好したのは、この「白波」と、同じく一升瓶で400円だったメルシャンのクッキングワイン(赤)だった。メルシャンのクッキングワインはBという飲んべえのスコットランド人の友人が紹介してくれたものだった。そのクッキングワインを飲み始めると、二人で1本空けるのが常だった。さすがに「白波」の方はアルコ−ル度がずっと高いので、友人と二人で1本空けるということはなかったように記憶している。何はともあれ焼酎とはもう30年の付き合いである。
 飛行機でのアルコ−ル類の話に戻るが、全日空だけでなく、デルタでもユナイテッドでも日本酒は揃えてあるが、焼酎はリストに入っていない。全部の航空会社を調べたわけではないが、多分焼酎は入っていないだろう。今では普通のレストラン、飲み屋で当たり前になっている焼酎が飛行機の中で飲めないのは何か特別な理由があるのだろうか?一つ考えられるのは、飲む人の好みによって様々なカクテルになるということだろうか。コ−ラ割り、ウ−ロン茶割りなど冷たいドリンクの他に、お湯割りがあって作るのが面倒であるかもしれない。もしそうだったら、ジントニック、ジンライム、ジンのコーラ割りなどジンをベースにしたカクテルに対して、ジントニックと1種類だけに制限しているように、酎ハイだけにすることも可能だ。他に考えられるのは、焼酎の社会的地位の低さだ。以前焼酎は低所得者層の飲み物と考えられていた時代があって、日本酒と比較して格が低いと見られていた。山谷でドヤ街でその日の仕事を得た労働者が、赤ちょうちんで冷やで飲むというようなイメージがあるのではなかろうか。しかし、今では居酒屋だけでなく、ちゃんとしたレストランでも焼酎を提供するようになっている。全日空のカクテルのリストにはジンとウォッカをベースにしたものが3種類入っているのだから、焼酎をベースにしたカクテルがあっても全然不思議ではない。また、焼酎は今や日本酒と共に日本の代表的な飲み物になっていることから、立派にリストに加えられる資格を持っている。更に言えば、全日空は日本を代表する航空会社なのであるから、率先して日本の代表的飲み物になっている焼酎をカクテルのリストに入れるべきではないだろうか。近い将来梅干し入りのお湯割り焼酎か濃い目の酎ハイを機内で味わいたいと考えるのは決してイジケビッチ一人だけではないだろう。悪乗りして「焼酎追加運動」でも始めようか?

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怎Cジケビッチ